大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和42(オ)819 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人船内正一の上告理由第一点について。

訴外Dの本件事故死は、当時上告会社の製品課倉庫係長であり、右Dの上司であ

つた訴外Eの不注意な指示、監督、すなわち、その過失行為によるものであり、そ

して、右Eの右過失行為は同人が上告会社の事業を執行するについてなされたもの

であるとした原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に徴し、是認できないわけ

ではない。原判決に所論の違法はなく、論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する

証拠の取捨判断および事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができな

い。

同第二点について。

訴外Dの本件事故死につき上告会社に民法七一五条一項但書所定の免責事由があ

るとはいえないとした原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係および本件記録に

照らし、首肯できないわけではない。原判決に所論の違法はなく、論旨は、ひつき

よう、原審の適法にした事実の認定を非難し、または、原審の認定にそわない事実

関係を前提として原判決を非難するものにすぎず、採用することができない。

同第三点および第四点について。

原審の確定した事実関係のもとにおいて、訴外Dの本件事故死につき同人に全く

過失がなかつたと断定することは、所論のごとく、問題の余地がないわけではない。

しかし、右Dに過失があつたとしても、同人の右事故死にもとづく損害賠償額の算

定につきその過失を斟酌するか否かは、原則として、原審の自由裁量に属するとこ

ろであるから、原審が右損害賠償額の算定につきその過失を斟酌しなかつたとして

- 1 -

も、そのことから、直ちに、原判決にその結論に影響を及ぼす違法があるとはいえ

ない。所論の判例は本件には適切でなく、論旨は採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の

とおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 飯 村 義 美

裁判官 田 中 二 郎

裁判官 下 村 三 郎

裁判官 松 本 正 雄

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!